第3章 人形卍ばーすと〜謙信〜
(あやつは、頑張って俺に勝とうとしたが、無駄だったな。)
と、一瞬謙信は悲しそうな顔をした。
(あの時、ちゃんと守っていれば……)
このやがまだ子供だった昔、謙信の国で小さな紛争が起きた。
…………
『よし終わったな。このや、帰るぞ。』
『はい!』
とこのやが言った時
『お前だけは、逃がせねえ。』
『!?』
『このや!!』
このやは、紛争の首謀者の男に捕まって崖から落とされた。
『このや!!!!!貴様!!!』
謙信は気が狂ったようにその男を叩き斬る。
『ぐわあっ!!』
謙信は、すぐに崖のところに行く。
しかし、崖の下は流れが速い川であった。
『このや………っ!!!』
謙信は、自分を責めた。
…………
「く………っ。」
謙信は、涙をこらえるため手をギュッと握りしめる。
(このや、このや……)
謙信は、このやの名前を呼び続けた。