第2章 嘘つき者は小娘に恋をした〜光秀〜
「攻めるしかないのですか?」
「ああ、そうだ。」
裏切りの隣村…紅音の村を攻め込むと信長が決断した。
きっと、あの隣村は火の海になってしまうだろう。
「………わかりました、信長様。」
「よし。家康、兵を集めておけ。」
「はっ!」
「秀吉、……」
光秀には、何も聞こえなかった。
(紅音……悪い………。)
光秀は、何度も何度も心の中で呟いた。
そして、戦の日。
光秀は、前線で戦うことになっていた。
(紅音を早く見つけてここらから逃がしてやろう。)
と光秀は思った。
やあああああ
織田が攻めて来たぞおおおお
きゃあああああ
光秀には、もう暖かい心はなかった。
だが、紅音を思いやる心だけは生きていた。
(紅音……っ!!)
光秀は、紅音のお屋敷に向かう。
「紅音!!」
と叫ぶが誰もいない。
逃げた?
いや違う。ここはもともと……
"誰も住んでいなかったんだ"
「……っ。」
光秀は歯を噛み締めて隣村の大名がいる城に向かう。