第2章 嘘つき者は小娘に恋をした〜光秀〜
「紅音!お帰りなさい!」
「今日は、何を持って帰ってきたの?」
安土の隣村に入った途端、隣村の農民たちは光秀と紅音を囲って群がっていた。
「紅音ちゃん、この人誰?」
「この人は柳波さんだよ。森で出会ったの。」
と言いながら紅音はしゃがんで小さな子供の頭を撫でる。
(なぜだ?変に違和感があるな……)
光秀はふと思った。
農民たちは、紅音に対してなぜか敬っているように感じた。
「では、皆さん。道を開けてくれませんか?そろそろ。」
と紅音が言うと農民たちは、わかりました、と承諾をして道を開ける。
道ができた事を目で見た紅音は、光秀の手をとって
「柳波さん、早く行きましょう。」
と言って村の中心部に向かう。
「どこへ向かうのか?」
「私の家です。」
と紅音は言う。
光秀は、そうか、と言った。