第2章 嘘つき者は小娘に恋をした〜光秀〜
紅音は、風呂敷を持ってきた。
「持とう。」
と言って光秀は紅音が持ってきた風呂敷を悠々ととる。
しかし、紅音は抵抗しなかった。
「ありがとうございます……。」
(ほう、普通なら誰でも抵抗すると言うのに……。抵抗しても返さぬがな。)
とクククと笑う光秀。
そんな姿を紅音が見ていたと言う事を知らずに。
「柳波さんは、武士なんですね。最初、ただの歩行者だと思っていました。」
「俺にとったら、紅音は警戒を解こうとしない動物に見えたぞ。」
光秀と紅音は横に並んで森の中を歩いて話ていた。
光秀は、紅音に自分が安土城にいる者だと勘付かれないように話していた。
「あっ、柳波さん。そろそろでつきますよ。」
と紅音は笑顔で言う。
紅音は、警戒をすっかりと解いていた。
(この笑顔は……俺には眩しいすぎる。)
と光秀は心の中で思った。