第16章 見えない鎖~三成~
台所に着くと、私は包丁を探す。
あった・・・
私は、土手で座り込むと包丁を持つ右手を上げて
「もう、生きたくないんだ!!」
と、大声で左手の脈に向けて包丁を下ろしたそのときであった
「やめてください、純恋様!!」
誰かが、私を押し倒して包丁を奪い取る。
そこにいたのは
「三成さん・・・」
「危機一髪でしたね。」
三成さんは真剣な顔になって
「純恋様、先ほどなにをしようとしたのですか。」
「・・・・」
私は黙り込む。
「・・・・貴方様が死ぬと私は悲しいです。」
は?なんで?
「兄上の妹だから?そんなの悲しくとも何も思いませんよ。」
私は鼻笑いをした。
「違います。私は、貴方様のことを・・・純恋様の事が好きだからです。」
え?
「家康様の妹だから悲しいだけではなく、貴方様がいないと私はなんで生きているのか分からなくなってしまうのです。」
なんで?
私は、一筋の涙をこぼした。