第2章 嘘つき者は小娘に恋をした〜光秀〜
安土から離れた光秀は、森の中を通って裏切りの隣村に向かった。
ガサガサ
お供もつけずに単身で攻め込もうとする光秀の考え。
「………ん?」
光秀は、足を止めた。
(なんだあの小娘は?)
光秀に見えるのは、赤い着物を着て、髪に梅の簪を刺した女であった。
光秀は、ゆっくりとその女に近づく。
女は、茂みの陰で咲く花を摘んでいた。
光秀は、その女の耳元で
「ここで何をしている?」
「わあああああああああ!!!」
女は、光秀が予想していた以上の驚きっぷりであった。
女は、すぐに光秀の方を向く。
「すまんすまん。」
と光秀は、苦笑する。
女はまだ警戒していた。