第13章 わっちの心は雨〜家康〜
「紅音姐!」
「おゆき……」
おゆきは、わっちに抱きつく。
わっちは、そんなおゆきの頭を優しく撫でる。
「紅音は、こっち。」
と竹千代様がわっちを馬に乗せる。
「紅音?その人は?」
と小夏が聞いて来る。
「この方は、わっちたちを買ってくれた家康様だ。もう、わっちたちは自由やで。」
と、言うとみんなは喜んだ。
親によって売られた、おゆき。
捨てられておたのを見つけられた、小夏。
みんなみんな、心が温かいものになった。
わっちのこの心も。
「家康様、わっちは一生家康様の女中として働きます。」
「いや。」
家康様は、首を横に振った。