第12章 すれ違い〜政宗〜
春日山城は、何故か宴をしていた。
「私は敵ですが……今は、姫として宴に出る」と言ったせいで、『甲斐の虎』とかを使わずに普通に下の名前で呼ぶようになってしまったのだ。
「謙信様、どうぞ。」
「徳川の妹か……」
私は、謙信様の盃に酒を入れる。
私の心は全て閉じてしまって、今じゃあ何も笑えない。
そして、ずっと嘘を通す。
「いや〜、徳川氏の妹か。」
「佐助さんは兄上のふぁん?と言ってましたよね。私の話を聞いて楽しいですか?」
佐助さんは、少し不思議。
「純恋、竹千代は元気?」
「義元様は、何故生きているのかが不思議ですね。」
義元様は、クスクスと笑い盃を傾ける。
「美人な姫君、今日俺と……」
「はいはい。信玄様は向こうに行っていてくださいね。」
信玄様と幸村は、見ているだけで面白い。
が、
私は、この宴で一度も心から笑っていなかった。