第10章 汚染にかかった私〜光秀〜
「いえ、特にありませんでしたよ。」
と年配の女中が言った。
嘘つき……。
あなた、さっきのやつずっと冷たい目で見ていたじゃないの?
ウソツキ
「なるほどな。」
光秀様が、ふと笑った。
そして、女中はさっきのことが 無かったように仕事にかかる。
いや、私だけ仕事ができなかった。
みんなは、私の存在を無いように私担当のところにいけないのである。
そんな様子を光秀様が見ていたことを私は知ることもなかった。
夕餉後
私は、信長様に呼ばれ信長様がおらっしゃる天守に来ていた。
「信長様、露鬼です。」
「入れ。」
私は、襖を開けた。
「どうだ?仕事は?」
信長様が笑みで聞いてきたので
「はい。信長様のおかげで楽しくやっております。」
と私は笑顔で答える。
ここでなぜ嘘を言ったのか私はわからない。