第9章 まにまに
「(………)」
手当を終えた日和は、一人庭の中にいた。
「お綺麗ですね、日和姫様。」
「うん。」
日和の心が安がるのは、このやか露鬼がいる時だけであった。
「日和姫様?最近、元気がないですけど……如何かされましたか?」
と心配そうに露鬼が日和に聞いてきた。
「露鬼、私しばらく一人でいたい。」
日和がそう言うと、うーんと露鬼が考え込む。
「なら、私の友達に聞いてきましょうか?」
「本当?」
「お任せください、日和姫様。」
二人は笑いあった。
その話を誰かに聞かれているも知らずに。
夕餉を終え、自分の部屋に居た日和は次の着物を作るためデザインをしていた。
「日和姫様、このやです。」
「このや?帰ってきたの?」
襖が開くと、男装をしたこのやが入ってきた。
「今お茶入れるね。」
日和は、せっせとお茶を入れる。
「ありがとうございます。」
「今日は、どんな仕事だったの?」
このやの仕事は、安土外……敵国の偵察であった。
だがそれは、終わるとなんでもしていいと命を下され仕事が終わると、その敵国の物産を買う。
「今日は、こんなものがありました。」
このやが出してきたのは、鏡であった。
「わあ、綺麗な手鏡ですね!」
「はい。まあ、それなりにいい値段してましたね。」
このやが、クスクス笑う。