• テキストサイズ

忍たま☆ちょっと変わった迷い人 の段

第4章 土井先生と同居人 の段


半助からしてみれば、それは素直な感想だった。

だが、『』としてかの本能からか、言われた当人はピタリと動きを止め、ぎこちなく半助から目を反らす。

「土井先生って、喜車の術がお得意ですか?」

ふて腐れたように言う顔はわずかに赤いのが夜でも見てとれる。

(乱きりしんなら、喜車の術って何ー?とか言うんじゃないかなぁ)

半助は胃の痛くなる事をとっさに思い浮かべ、慌てて頭から打ち消した。

「大丈夫、さすがに喜車の術は覚えてるはず。教えたはずだ、教えたはずだ・・・」

「あ、あの、土井先生?」

いきなり頭を抱えだした半助に、は赤くなるのも忘れて半助を覗きこむ。

「あ、あぁ、ごめん、くん」

謝る半助に、はキョトンとしたものの、すぐに『』らしく歩き出す。

その肩を、半助は掴んで歩みを止めさせた。

「待って、『』くん。一緒に見廻りするから」

「えっ? 二手に別れた方が効率が・・・あ、さすがに部外者の僕が夜に単独行動はマズイですか?」

呼び止められたは、半助を気遣い眉をしかめる。

半助は反論に困った。

の指摘も間違ってはいない。山田利吉の友人とはいえ、まだは確たる信頼を学園から獲ているわけではない。

利吉のように父が学園関係者なわけでもない、学園からしてみれば新参者に近い。

だが、半助がに別行動をさせない1番の理由は、そこではない。

(学園長は何を考えておられるんだか・・・)

半助は1人頭を抱えた。

数刻前、ヘムヘムに呼び出された時の出来事が半助の脳裏をよぎる。

『土井先生、人気のない時間に『』が何かしようとした時は極力行動を共にしなさい』

『どういう事です、学園長?』

『その方が面白そうじゃからじゃ!』

『学園長!?』

ヘムヘムに呼び出されて向かった学園長の部屋でのやり取りが、頭の中によみがえる。

学園長先生の突然の思いつき。それが、半助を悩ませる。

指示自体は好都合だ。と共にいる、自分への口実になる。

だが、それを本人に言えるものではない。

「一緒に散歩したいって事にしないかい?」

半助は笑っての頭を撫でた。
/ 83ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp