第1章 闇色夢綺譚~花綴り~
【理、その解】
「お前ら、適当に回って先に帰って良いから」
先を歩く二人に俺はそう告げた。
「それは良いけど、左之さんはどうすんだ?」
平助は屋台で買ったイカ焼を頬張りながら聞き返す。
「俺か?俺はちぃと野暮用でな」
ある程度時間を稼いだ俺らは、途中で別行動を取る事にした。まぁ、俺らと言っても時間を延ばして行動させたのは俺なんだけど。
「んじゃあな、お二人さん」
気を付けて帰ろよと言いながら背を向けた俺は片手をひらひらとさせ、その場を後にした。
「さてと…」
野暮用と言っても、名前の事が気になって仕方ないだけ。けれど理由を知っている俺はその事に罪悪感を抱き、屯所に帰れないでいた。
「あー、俺って何時からこんな臆病になったんだ…?」
そんな事を思っていると俺は知らぬ間に河原までやって来ていた。
全く、何やっているんだか…。