第1章 闇色夢綺譚~花綴り~
「一人増えた所で問題はあるまい。それに…」
もう、私を快楽と言う名の罪の意識に叩き落として。
顎にかかるその指先ですら私にとっては猛毒。
彼の指先は私のだらしなく開いた唇をなぞり、次第に口の中に入って来る。
「ぁ、ぁ、ん…」
彼の指が私の舌を弄ぶ。
「んっ、っ…」
私は夢中で風間千景の指先を追いかけた。
「随分と飼い慣らされているようだが。貴様、名は…」
卑しく風間千景の指を舌で追っていた私の耳に微かに名と聞こえた様な気がした。
「ん…っ、あっ…!」
名乗れたのかどうだか解らない。
風間千景の指を咥えながら身体を捩った私は早くどうにかして欲しいと彼に訴えた。
「この俺にどうして欲しいか答えろ」
私はどう答えたのだろう。
「あぁっ…っ!は、あっ!」
風間千景の指はいつの間にか私の着物の中に侵入し、更にその奥まで指先を伸ばし淫らに、激しく掻き乱す。
薬のせいで指一本でも直ぐにいってしまいそう。
「見ず知らずの男に身体をこうまで乱すとは…」
風間千景は何か呟くと指を一本、二本と数を増やし、私の奥を突く。
私はもう喘ぐ事しか出来ないただの卑劣な女。
風間千景の着物をキツく握りしめ、もっと、もっとと催促している自分が本当に嫌になる。
そう思っていると私の中に入っていた風間千景の指の動きが止まった。
「っ!」
何シテルの、早くワタシをイかせてヨ!
もう一度、風間の着物を握りしめたんだ。
「何…五月蝿い犬が嗅ぎ付けて来ただけだ。貴様とは巡り会う運命なのかも知れぬ…」
そう言った風間は中途半端にしてこの場を去り、それと同時に誰かがこっちへ走って来るのが解った。
「おい、大丈夫かっ…って」
名前…?