第18章 問題は山積み
お貴族様からのご招待に失礼がない様にそれなりの服装を仕立てるにはウォール・ジーナ内の街まで行くしかない。
きっと素直にそれを話したらリヴァイは嫌がるに決まっている。
だから馬車に乗り、移動中に詳細を話した。
「なんで俺まで行く必要がある?」
『あちらからのご指名なの、仕方がないでしょ。』
本当はこんな事にまでリヴァイを使うのは気が進まない。
どうせあの連中はリヴァイを珍しいもの見たさで呼んだだけ。
だが、貴族の招待を断るにはそれそうなりの理由が必要になる。
例えば歩けない程の負傷をしているとか、うつる病に罹っているとか。
どれも今のリヴァイにはあてはまらないし、仮に嘘でそう言ってしまったら今後の壁外調査が出来なくなるかもしれない。
人類最強の兵士なしで外へ行くのか?と批難される事は目に見える。
「面倒臭ぇ。」
『ま、その通りだけどね。』
「もし、俺が嫌だと言ったら?」
『それはない、残念だけど拒否権はない。』
こんな言い方はしたくない、けれど今回ばかり、いや、今後はリヴァイもこちら側の仕事が増える事になるだろう。
それならば、エルヴィンも自分も同行する事が出来るうちに知ってもらう事が一番だ。
「わかった、なら条件がある。」
『条件?』
「俺に隠し事はなしだ、いいな?」
前にもそんな事を言われた様な気がする。
そもそもリヴァイに隠し事など無い。
『勿論だよ。』
「なら、話せ。俺が初めて壁外調査に出た頃、アンタは何をしてた?なぜあの調査に参加してなかった?」
ズキっと胸が痛んだ。
リヴァイの真っ直ぐな視線と言葉が突き刺さった。
これは解答を求める質問では無い、答え合わせをしようとしているのだろう。
『あなたが入団してくる少し前から、私は王都に行ってたの。ニコラスの不正の証拠を得るために。あの調査に出る前日、私はザックレー総統の所にその証拠を持って行っていたから壁外調査には参加しなかった。』
「いつからだ、いつからアンタは動いてた?」
覚悟はしていた。
いつかリヴァイにこんな風に聞かれる日が来るだろう、と。
『君達がエルヴィンに囚われる三ヶ月前からよ。』
「…なんで俺達だった?」