第15章 決断と結果
看護班の指示で馬車が数台、本隊から離れて行く。
一刻も早く治療が必要な兵がそこには乗っていた。
「毎回思う事だけど。帰還したこの時だけは、笑えないよ。」
『今更じゃない。』
馬車を見送ったアゲハは、いつもの元気が全くないハンジと一緒にマリアの壁を越えた。
そのまま休む事なく数時間走り続け、トロスト区の扉を抜けた。
森の向こうに兵舎が見える。
帰って来た!とどんよりと重かった空気がほんの少し明るさを取り戻す。
「…?ミケ?」
急に青い顔をして止まってしまったミケに気が付いたハンジは、首をかしげる。
まさか怪我を負っていたのか?とアゲハも心配そうに駆け寄った。
『ミケ?!』
額には脂汗がびっしりと浮かんでいた。
「巨人がくる…。」
ミケはそう言うとスンスンと鼻を動かした。