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名の無い関係

第14章 最強争奪戦


壁外調査の日程が決まった。
今回の調査はエルヴィン考案の長距離索敵型陣形のテストも兼ねている。
それに合わせ、兵団内の組織も大きく変わった。
キース団長を筆頭に、エルヴィンは団長の補佐に就く。
兵士長の座は無くなり、五つの隊に別れそれぞれに隊長が一人、その隊内を任務内容に合わせて班で別れる。
もっとも隊巨人戦闘に特化しているのが第三分隊で、その隊の隊長はアゲハなのは変わらない。
だが、彼女は自分の隊には人数は要らない代わりに人員を選ばせて欲しいと言った。
各班5名で五班。
そして今日からその新たな仲間で新しい陣形に合わせた訓練が始まった。
アゲハが訓練地に選んだのは背丈のある樹木の並ぶ森。
森を馬で全速力で走る訓練と、その馬上から立体起動に移る訓練を同時に行う事にしたのだ。
実際の調査では、巨人との戦闘になったときに上手い具合にアンカーを打ち込む場所があるとは限らないが、まずは基本をしっかり身体に覚えさせる事が大事だ。


『それじゃ、行くよ!!』


隊長の合図で皆が一斉にアンカーを撃つ。


「嘘だろ…。」

「アゲハ隊長は飛べるって本当だったんだ。」


確認されている一番体長のある巨人が来ても届かない高さまで飛び、そこから彼女の瞬息の攻撃が始まる。
それはまるで猛禽類の狩だ。
落下する速さを最大限に使い、巨人ハリボテの頸を見事に切り裂き飛び上がる。
近くの枝に着地した兵達はたった今、一体討伐した彼女が既に自分達の遥か頭上まで飛んだのを見上げて感嘆の声を漏らした。


「あまい!」

『おっと、やるね〜。』


そんな彼女の速さに追い付く影。
甲高い金属のぶつかり合う音が響く。
とても空中戦とは思えない、激しい追走撃。


『まだまだリヴァイには負けないよ!』

「なら、なんであの時は手を抜いた?」


訓練と言うよりも二人の激しい空中戦を見る事になってしまってきている。
けれど、アゲハはそれも訓練の内だと考えていた。
全員が同じ事が出来るわけではない。
今の自分には何が出来て、何が出来ないのかを知ることから彼女の訓練は始まる。


「様子がおかしいな。」


だからこうしてあの二人の激しい空中戦を見上げるのは珍しい事ではない。
しかし、今日のは何か違うとナナバは呟く。


『なんの話?』

「俺は真剣にやった。」
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