第1章 電車にて【レオ&アラン×プリンセス】
キーッ、ガタン。
目の前で電車が止まって、扉が開く。
車内は満員。
「もしかして、通勤ラッシュ?」
レナが首を傾げると、レオが答えてくれる。
「そうだね。この線は特に混むんだ」
「そうなんだ。凄い人。乗れるかな?」
レナは、ウィスタリアにもラッシュがあることに驚きながら、アランとレオと一緒に無理矢理、乗り込む。
車内は、正に、すし詰め状態。
回りは、スーツを着た、サラリーマン風の男の人ばかり。
身動きなど取れない。
だが…
(あれ?
あんまり苦しくない)
こんなに人が多いのに、自分の周りにだけ、僅かな空間があることにレナは気付く。
(そっか。アランとレオが…)
前をアラン、
後ろをレオが、
囲うようにレナを守ってくれていた。
(なんだか、王子様みたい)
嬉しく思っていると、扉が閉まって…
ガタンゴトン……ガタンゴトン……
電車が動き始める。
レナはそっと視線を上げて、小声で言った。
「ありがとう、二人とも」
「何が?」
アランが首を傾げる。
「だって、私が苦しくないように、気を遣ってくれてるでしょ?」
レナがそう言うと、今度はレオが答えてくれる。
「お礼を言われる事はしてないよ。俺達がこうしたいだけだから」
( 二人とも、本当に優しいな)
そう思った直後。
レナのお尻の辺りに、何かが触れた。