第1章 媚薬に溺れて *アラン
自室に戻ると
程なくして扉がノックされる
(だれだろ…?)
「どうぞ」
ガチャりと入ってきたのは
ユーリだった
「ユキ様、おはよう」
「ユーリ!おはよう」
「昨夜はアラン様の部屋に泊まったみたいだけど…
上手く渡せたんだね!」
「うん!ちゃんと食べてもらえたよ!」
昨夜何があったか悟られないように
明るく誤魔化す
すると、ユーリが様子を伺うように尋ねてきた
「ユキ様…昨日…なんともなかった…?」
「えっ……」
「昨日入れた…エッセンス……
実は強力な媚薬だったみたいで……」
「そうだったんだ……」
だから…昨日あんなに……
「ごめんね…俺がもっとちゃんと調べてれば……」
「ううん…私も確認せずに入れちゃったし
ユーリが謝ることないよ」
「ありがとう…ユキ様……
それにあの媚薬…
かなり強力な精力増強剤も含まれてるみたいで…」
「強力な精力増強剤…?」
「うん…
男の人が飲むと…その…
出す回数とか量とか…多くなるものなんだけど
今回のは通常の10倍くらいの効き目だったみたい」
通常の10倍……
アランはいつも2回くらいは出すから…
……20回?!
そっか……だからあんなに量も多くて……
昨日のいつもと違うアランの状態に納得する
「ユキ様…その…身体とか…
色々大丈夫…?」
ユーリが心配そうに見つめてくる
「大丈夫だよ、ユーリ」
媚薬のおかげっていうのが少し残念だけど…
それでも求められて心が満たされたから…
「ありがとう、ユーリ」
たくさんの意味を込めてお礼を言うと
ユーリもなにか察したように
ホッとした表情で
「どういたしまして」
と言った
そして、晴れやかな顔で
執務室に向かったのだった