第1章 媚薬に溺れて *アラン
「あ…えっとね……
今日、バレンタインだから…
チョコ、渡したくて……」
少し、顔を赤らめながら、ユキが言う。
「受け取ってもらえる…?」
想い、届きますように……
なかなか受け取らないから、
恐る恐るアランの顔を見てみると
急に頭を引き寄せられ、
唇が塞がれる。
「んっ……」
急なキスに顔が一気に熱くなる。
唇が離れると、アランは
顔を綻ばせて、
ありがとう、と言った。
「やっぱ、もらえるって分かってても
嬉しいもんだな」
「やっぱり気づいてたんだ」
「普通、バレンタインの前日に
キッチンでお菓子作ってたら気づくだろ?」
「そうだけど…
サプライズにしたかったのに」
少しむくれてみせると、
またキスが降ってきた。