第1章 媚薬に溺れて *アラン
…………
そろそろ、執務室に向かわなきゃ。
ジルが待ってる……
涙を押し込めて、部屋を出ようとすると
扉がノックされる。
「ユキ様、いらっしゃいますか?」
ジル…?
「どうしたの?」
と言い、扉を開けると
「これ、
アラン殿が先程、貴女に渡してほしいと」
そう言って差し出されたのは、
1枚のメモだった。
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ユキ
今日の夜、部屋で待っててくれ
眠たくなったら先に寝ててもいい
会議は出来るだけ早く終わらせる
アラン
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アラン……優しいな……
少し心が軽くなる。
そんなユキの様子を見透かしているかのように
ジルは、
「さぁ、執務室に参りましょう」
とにこやかに言った