第1章 媚薬に溺れて *アラン
[アランside]
走り去っていくユキを見つめて
(だめだ…
もう、これ以上悲しませたくない)
アランは、足早にジルの執務室に向かう。
「ジル、今日もあいつに会うだろ?
ちょっとあいつに、これ、渡しといてくれ」
そう言って、1枚のメモを渡す。
「直接渡せばいいじゃないですか
まぁ…構いませんが……」
(今会ったら、きっとあいつ、
また俺に気遣う)
ジルに礼を言って執務室を出ていくところで
ジルに声をかけられた。
「アラン殿
私も、早く議題を進められるように最善を尽くしますので。」
その言葉に、
助かる、とだけ言って
今日の仕事に向かった。