第1章 媚薬に溺れて *アラン
[アランside]
ジルと別れると、
廊下の少し先にユキがいることに気がつく。
(謝っとかなきゃな……)
ユキのそばまで行って
「ごめん…ユキ…
今日の夜のことだけど……」
と言いかけると
ユキが泣きそうな笑顔で
大丈夫。わかってる。
と言ってくる。
(大丈夫って顔してねぇ……)
そんな姿を見て、
アランは胸が締め付けられた。
(また、そんな顔させちまったな……)
言葉を紡げないでいると、
ユキが俺に背を向けて早口に言って
走っていく。
「じゃあ、私は公務頑張ってくるね!
アランも今日も頑張って!」
「おい…っ!」
と呼び止めるけど、ユキは振り返らない。