第1章 彼の話
ーーー【アルジュナ】。
彼はヒンドゥー教の聖典の1つである叙事詩『マハーバーラタ』に登場する英雄であることが知られている。
パーンダヴァ五兄弟の、三人目。
雷神とされているインドラの息子である。
ヴィシュヌ神の化身であり従兄弟であるクリシュナと非常に仲が良かったとされる。
ーーーそして、異父兄である『カルナ』とは一言では表せられない因縁があった。
『授かりの英雄』として語り継がれるアルジュナ。
『施しの英雄』として語り継がれるカルナ。
全くもって正反対の彼らの人生は、ただの、この紙媒体のものでは計り知れないものがあったのだと思う。
何が違えば彼らの関係は変わったのだろう。
兄弟なのに。
なぜ殺し合わなくてはならなかったのだろう。
私にはわからない。
当事者にしか分かり得ないことだ。
彼は、アルジュナはどうしてカルナを殺すことにしたのだろうか。
ルールを破ってまで。