第6章 君の笑顔を数えよう【にっかり青江】
「主、最近気持ちが軽くなったようですね」
数珠丸は共に畑仕事を行っていた、青江と共に弁当を広げていた。
「そうだね。スッキリしたみたいだね」
青江は白飯を嚥下しながら答えた。
「きっと誰かが、彼女に取り付いていたモノを払ったのでしょうね、青江」
「……やっぱり君は食えないなぁ」
深くため息を吐く青江に、数珠丸はただ優しく笑っている。
「僕はせいぜい、あやかしを切っただけさ。それなら君にだってできる。……あとはつまらない願掛けをしたくらい。あんなの、効果なんてないけどね」
「いいじゃないですか。嘘も方便、目的が達成されたのならそれで」
「……君がそれを言っちゃうんだ。でも確かに、役得だったかなぁ」
青江は弁当の最後の一口を食べると、数珠丸から背を向けて寝転んだ。
その寝顔に浮かぶ笑みは、まるで春を覚えたばかりのように上気していた。