第1章 何光年でもこの歌を口ずさみながら【同田貫正国】
「はぁ?」
同田貫は一瞬、その問いの真意が理解できず莉央を見下ろした。
「だから、前世とか関係なく、私とーー」
しかし自分を見上げる莉央の視線に、何かを察した同田貫は自分の顔が熱くなるのを感じた。
「し、知らねぇよ!! そんなもん!!」
それっきり同田貫は布団の中に潜り込んでしまった。
布団の中で自分の動悸を抑えることに、必死なのだ。
満開の椿の木の下、二人の男女が並んでいる。
二人はいつまでもいつまでも、そこで赤い花の美しさを眺めているのだった。
END