第1章 黒い雨。
「蓮示、傷っ、ごめんなさい」
「あぁ、大したことない。
そんな顔するな。」
蓮示とやっと二人きりになれた。
本当の二人きりに。
「蓮示、私たち、ずっと一緒よ?」
「あぁ。次こそは放さない。
お前と、幸せになると決めた。」
いつも口数が少ないのに、
今はなんでなのか、私の目を離さず伝えてくれる。
「どうしたの?」
「ん、いや…本当はこう言っていても、
自信がない。
お前をずっとそばに置いておけるのか…」
「なに言ってんの、蓮示、
私は大丈夫よ。
蓮示を守るのは私、私を守るのは蓮示。
そうでしょ?」
私はこんなにもあなたを愛してるんだから。
私たちに不可能なんてないのよ。
「サエがそういえば、俺は大丈夫な気がする。」
そういって、いつも仏頂面の蓮示が笑う。
「蓮示、愛してる。」
「あぁ、俺もだ。愛してる。」
私たちなら大丈夫。
end