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【イケメン王宮】Shape of heart

第2章 《レオ B.D》 その名前


壁一面の本棚にシンプルながらもそこに彼らしい品がある洒落たインテリア。

綺麗に整頓されながらもうず高く積まれた書類が置いてある机は彼の仕事量の多さを物語る。

差し込む日差しは穏やか。



机の傍にあるソファに横たわり束の間の休息。

睡眠…
多くの人はこれを好むが俺は苦手だ。

意識を手放す瞬間に頭の中に過ったのはつい先ほどまで勉強を教えていた彼女の言葉。


「もっと自分に優しくしてあげてね。じゃないと心配。」

遠慮がちな心配を裏に隠した彼女のその微笑みが瞼の裏に焼き付いていた。

今までも王宮の人や外でも心配されたことはある。
その度に軽くかわしてきた。

目的のために静かに自分の本心を胸の奥に沈めて
貼り付いた笑顔の仮面を人前で外すことはない。

そう、俺はただの女の子好きの一人好きの自由な官僚。
悩みなんてない。

誰かに固執したり深追いすることはしない。
自分にもそうさせない。

そんなの面倒なだけ。

目的さえ達成されれば自分のことなどどうでもよかった。

ただ、弟やここで自分に良くしてくれた人々は幸せであってくれたらいいなとは思っていた。

そんな程度。

「レオはもしかして、この王宮にある本、全部読んでるの?」

座学中にリアが本棚を見つめふと漏らした質問。

「はは、さすがに全部は読み切れないな。
図書室やほかにも書庫があるし。
まぁ少なくともここの部屋と執務室、自室とあと政治や外交に関わるものはほぼ読んだかな?」

「やっぱりレオはすごいよ。
なんかレオに知らないことはないんじゃないかなって最近思えてきたの。」
教えたことを忘れないように資料に書き込みながらリアは感嘆の声を上げる。

「そんなことないよ。俺だって知らないことはたくさんある。
でも本を読んで知識が入ってくる感覚は好きかな。
俺も読んでる方だけどジルだってよく本読んでるよ?」
踏み込ませないように徐々に話を逸らす。

「ジルも勿論凄いよ。
ほんと完璧って感じで背中にも目がついているんじゃないかってくらい色々気づくし、
いつも的確なアドバイスを必要な分だけくれる。

無駄がないというか。
私みたいな貴族や王宮のこと何も知らない子を面倒見れるのはジルくらいしかいないんじゃないでしょうか。。」

自分で話を逸らしたのに何故か胸が軋んだ。
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