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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第17章 我儘に甘えて(秀吉)


『愛様、無理です!
ちゃんと寝ていて下さい!!』


半ば懇願のような女中の声が響いたのは翌日のこと。
熱が全く下がった様子もないのに、愛が城へ向かうと言う。


「ほんの少し顔出すだけで帰って来ますから…」

『いいえ!絶対駄目です!
こんな体調の愛様を出歩かせて何かあったら、
私たちが秀吉様に怒られてしまいます!』

『お願いですから、お医者様呼びましょう?』

女中達が口々にまくし立てる。

朝から繰り返している問答に、遂に愛が折れる。
いや、正確には、愛の体力が持たなくなった。


「わかりました…。では、申し訳ないのですが、
着物の仕立てが立て込んでいるので顔を出せないと伝えてもらえますか」


気力で起き上がっていたが、押し問答に体力を奪われ、
女中達が無理やり寝かせるのにも逆らう元気もなかった。


『かしこまりました。お城にはそのように伝言致します』


愛が寝かされ、再び額には手ぬぐいが置かれた時、
外から叫び声にも似た声が響いた。


『家康様!お待ちください!愛様は…』


(え?)

家康という名前に愛が反応した瞬間、


『入るよ。愛、いるんでしょ』

そう言って襖を開けたのは、家康本人だった。


『えっ?どうしたの…』


寝かされた愛の周りに女中が数名。
一目見ただけで、病人だとわかる光景だった。


「家康…どうしたの?ゴホッゴホッ…」


再び起き上がろうとする愛を、
駆け寄った家康が無理やり抑え込む。


『いいから。
どうしたのは愛の方でしょ。
これ、医者に診せたの?』


その質問に、女中達は気まづそうに目を逸らす。


『薬飲んでるの?』


『・・・・・』



『はぁ…愛、どういう事?』


女中達が口を閉ざしているので、
家康は愛に直接問いかけた。



「ごめ…ゴホッ…秀吉さんには、内緒に…
ゴホッ…ゴホゴホッ…」


激しく咳き込む愛の身体を
そっと横向きにする。


『はい、この方が楽だから。
今、薬持ってくるから待ってて』


そう言うと家康は愛の部屋を後にした。
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