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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第8章 私が髪を切る理由(幸村)


「素人が家庭で使うなら、別に安いものでもいいでしょう。
本物は使い方が難しいですからね。でもプロはやはり道具にも拘る」

『ぷろ?ってなんだ?』

「その道の専門職という意味だ」

幸村は感心した顔を、謙信は何かを考える顔をしている。

「包丁を使う専門職は料理人として、
鋏を使うっていうのは、庭師かなにかか?」

謙信の問いに、佐助は付け加える。

「あとは、美容師もですね」

『びようし?』

「髪結いだけでなく、未来では髪型をそれぞれの癖や好みによって
デザインして行くんですよ。アートです」

『でざいん?あーと?また始まったな、佐助の謎の言葉…』

「もっとわかるように言え。斬るぞ」

苛立ちを隠しきれない謙信は佐助を睨みつける。

「その人にあった髪型を考えて、人と同じようにならないように仕上げるんですよ。
まぁ、有名人と同じ髪型にしてくれっていう要望にも応えてくれますけどね」

『五百年後ってのは、そんなにしょっちゅう髪を切るもんなのか?』
幸村が不思議そうに佐助に訊く。

「髪型には服と同じで流行り廃りもあるんだ。
あとは、女性は失恋した時とかに切ったりするみたいだ」

『失恋?』

「あぁ。付き合ってた人と別れた、とか、告白して振られた、とか、
色々な理由で今の恋を諦めなければなくなった時に、
心機一転で髪をバッサリ切ったりすると聞いたことがある。
俺は男だし、恋愛とはあまり縁が無いからよくわからないけど…」

「何か歯切れが悪いな、佐助」

だまって聞いていた謙信が佐助に目を向けると、
佐助は何かを考え込んでいるように見えた。

「えぇ…まぁ。ところで幸、最近愛さんと何かあったか?」

『な、何だよ唐突に…』

「いや、喧嘩とか…別れ話とか…」

幸村は口に含もうとしていた酒を盛大に吹き出した。

『な、なんだよ!そんな事あるわけねぇだろ』
幸村は焦った口調で佐助に言う。

『なんだ、幸…お前、天女を悲しませるような事をしたのか?』

不意に現れた信玄が幸村に冷たい目を向けている。

『何にもねーって言ってんだろ!
だいたい、今回安土に来てから、まだ愛には会ってねぇ…』

幸村は手の杯に目線を落とし、呟くように言った。
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