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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第8章 私が髪を切る理由(幸村)


「お前のいた時代は、なんかめんどくせー事ばっかだなぁ」

幸村は、佐助の話す未来の様子に、
何も想像出来ないという反応をしていた。

『そうかな?全て、今より便利だと思うが…』

うーん、と頭を悩ませる仕草をする佐助。
未来には今のような戦が無いこと、
遠く離れた場所でもすぐに行こうと思えば行けること、
急ぎの用事は、早馬させなくてもメールや電話ですぐ伝えられること…
などだ。


「ふん。刀を振るわない世の中とは、日ノ本は死んだも同然だな。
刀鍛冶は職を失う…」

「いや、失いませんよ。違う理由で減りますが…って、え?」

佐助は自然に答えているが、
いつの間にか二人の会話に入ってきたのは、謙信。
全くつまらないと言うような顔で現れ、
手早く酒の用意をしている。


『謙信様、こんな時間から酒飲むんですか?
まだ昼餉も終わったばかりですよ!』

幸村が呆れたように言うと、

「お前たちが暇そうだから、酒でも飲ませてやろうと思ったまでだ」

と、用意した杯を二人に渡す。

「謙信様。何があるかわからない敵の城下です。
忍びの俺まで酒をあおるわけにはいかないでしょう」

佐助が正論で拒否するが、

「何も起こるものか。こんな平和ボケの城下で。
酒が上手いことだけは褒めてやる。
それとも、何か起こるように暴れてみるか?」

そう言うと、手酌をし酒をあおる。

佐助と幸村は顔を見合わせ、仕方が無い…と観念したように
お互いに酒を注ぎ、謙信に付き合う。

『おい、佐助、さっきの刀鍛冶の話どういう事だよ』
幸村が話を戻す。

「違う理由で減るが、無くならないといったな」
謙信も興味があるようだ。

「減る理由は、日本人の技術開発が素晴らしく、一つ一つに時間をかけなくても、
工場という施設での大量生産が出来るようになるからです。
無くならない理由は、それでも工場では賄いきれない技や、切れ味などの品質は
刀鍛冶の方々には敵わないからです」

『それ、工場?で作る意味あんのか?』

「ある。価格が安くなる。職人が一つ一つ作るものとでは、
月とスッポンくらいの価格の差が出る」

「まて…。刀を振るわない時代に、安く多く生産する理由はないだろう」
謙信が眉をひそめる。

「あ、そうそう。作っているのは刀ではありません。
包丁や、鋏ですよ」

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