• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第8章 私が髪を切る理由(幸村)


「なんだ、愛に興味が無くなったのか。薄情な男だな」
謙信の言葉に信玄も続く。

『ほぉ、じゃぁ天女は誰のものでも無いんだな?
早速、逢瀬の約束でもしてくるか』

冷たい眼の謙信と、艶っぽい表情の信玄に向かい、
幸村は声を荒げ、

『そんなんじゃねえって!
まだ安土に入った事を伝えてられてないだけだ。
昨日も今日も雨だから店も出せねぇし』

「いや、愛さんは幸がいる事を知っている」

佐助が淡々とした声で幸村に告げる。

『え?なんでだよ』

「昨日、愛さんに会いに行ったからだ」

幸村は無表情で伝える佐助の胸ぐらを勢いよく掴みねじりあげる。

『どういう事だ!俺は何にも聞いてねぇぞ!』

信玄は、いきり立っている幸村の手をそっと解く。
『暴力は止めろ幸。佐助にも言い分があるだろう』

「どうどう、幸。今伝えた」

佐助の言葉に、謙信も信玄も呆れた顔をする。

『お前は愛に会った上で、
幸村と愛が喧嘩したのかと訊いたんだな?
どういう事だ』

謙信が自分の杯に酒を注ぎながら問う。


「幸には直ぐに伝えようと思っていたんだ。
ただ、何か違和感があって今まで言い出せなかった。すまない。
幸も安土に来ていることを真っ先に伝えてあげようと思って…」

『天女は元気だったかい?佐助』

信玄が甘い声で愛の様子を訊くと、

「えぇ。とっても」
と答える佐助。

『お前は先程から何を言い淀んでいるのだ』
謙信が少し苛立ちながら佐助を見る。


はぁ…と一つため息をつくと、佐助は口を開く。

「何か困った事はないかと聞いたら、
この時代では、どこで髪を切るのかと訊かれた」

『ほぉ。なぜそんな事を訊く?
愛の髪はあんなに艶やかで綺麗ではないか』

《えっ》

三人が揃って声を出す。

『謙信、どうしたんだ、お前が女の子を褒めるなんて…
どこか具合が悪いのか?』

信玄が本気で心配そうな顔をする。

『なんだお前ら。俺は、思った通りの事を言ったまでだ』

「そ、そうですか…」
流石の佐助も少し狼狽えたようだった。

『別に、あいつがいた世の中だったら、髪を切るなんて当たり前のことなんだろ?
さっきお前が言ったんじゃねーか』

幸村が不機嫌に言う。



/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp