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『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔

第7章 寝ても覚めても、近づいても離れても


まだ、少しだけ…
私に甘い夢を見させて下さい
どうか、このままで…
揺れる電車の音を聞きながら
私はユカと黒尾くんに対して
ごめんなさいと内心ずっと
謝罪の言葉を述べていた

ーーー…

「本当に狭かったな、大丈夫だった?」
「うん、ごめんね…」
「謝るのはこっちだから…それに朝倉さんが嫌がったのに無理に行けるとか言った俺が悪い」

別に嫌がった訳じゃない
本音を言うなら貴方と一緒にいたかった
望めない夢を見てしまったから…
そんな事は言えなくて
貴方の言葉を聞きながら私は苦笑いする。
次にバスへ乗り込む時
開いていた席を見付けて

「どうぞ、お姫様」

と冗談で笑いつつ言う黒尾くん。
隣りに座らないのか?
そんな言葉を言う程
私は空気が読めなくはない
目の前で笑い掛けてくれる
黒尾くん…しかしユカの彼氏だ
そんな言葉を伝えるのは駄目。
夢と現実が押し寄せて来た…

のんびりとバスに揺られ
黒尾くんは眠そう欠伸をした
立っているのはやはり辛くはないか
やはり席を譲ろうかと考える

「私、ここで降りるね」
「はっ?いや…歩くまでまだ結構かかるけど」
「健康第一。今日は歩きたい気分なんだ」

バスでボタンを押して立ち上がる
お金を入れてバスから出て行こう
とすれば、なぜか一緒に彼も来た

「なんで…」
「いや、一緒に学校行こうって俺が言ったし、なによりユカの友達だろ?心配だから一緒に着いて行きます」

困る、困る、困る、困る
なにより、嬉しくない。
ユカの事を名前呼び、それは分かる
だって恋人だし
いずれはそうなるだろうと
でも…『ユカの友達』
だから学校まで一緒に行くとか
なにそれ、私を馬鹿にしてるのか…
私の幸せを返せ。いや分かっている
分かっているんだ…
貴方は私のモノにはならない
それくらい私にだって分かってる!

「私、一人で行きたかった…」
「いや、でもさ危ないし…」
「黒尾くんはユカの彼氏でしょうが!私の事はどうだっていい!そんな優しさ、私には必要ない!」

声を張り上げた私。
空気が重い
私の幸せな時間が終わった
申し訳なさげに謝る黒尾くんは
先に学校へ歩いて行く。

見えなくなった後ろ姿に
八つ当たりした罪悪感が
私の心を支配する、嫌だ。
嫌われたくなかったのに…
今の貴方はとても遠く感じ
涙を流した

『寝ても覚めても、近づいても離れても』
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