『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第24章 いい奴だなと思った…黒尾鉄朗。
「はっ?なんでーー…」
俺の言葉を遮るように思い切り夜久が
いつも使うロッカーのドアを閉めた
バンッ!と大きな音とは正反対であり
夜久は無表情で冷めたように口を開いた
「絶対、お前の口からは言うなよ…」
「……分かった、言わねぇからそんな顔すんなって」
揉め事ではないが、ただならぬ雰囲気
だったのは見て分かり後輩達はざわついて
見えた。そんな夜久は大きくため息をつくと
俺の胸にトンッと手の甲で軽く
ノックするように叩いた
「黒尾、マジで頼むな?それじゃあお先に教室戻ってるから戸締り宜しく!」
ニッと笑って言った夜久の言葉に
不機嫌そうな様子はなくて
ただ夜久の後ろ姿を見ているだけ
しか俺には出来なかった
ーーー…
教室に戻ると慌ただしい雰囲気であり
成雲が既にバラして見えるようだった
サー…と血の気が引いて行き夜久を見ても
すこぶる不機嫌気味なのは見て分かる
待て、これは俺のせいじゃないと
夜久の方を見て左右に首を振った
「おい黒尾、成雲と付き合ったって本当かよ!」
「あぁ。うん、そうそう…」
「くっ!羨ましい…裏切り者っ!」
「お前等には一生縁のないモノだよなー…いやぁ、本当にごめんな!」
「うわっ…その顔、スゲー腹立つ!」
「くっそ!リア充爆発しろ!」
そう言いつつも祝福してくれる友人達の
言葉をケラケラ笑いながら成雲を見た
にっこりと笑い掛けて手を振ってくれる
あの表情全てが今日から俺のモノなんだと
優越感が湧き上がって来る
その時朝倉さんが視界に入った
俺から視線を反らし気分が悪そうに見える
気になり近付こうとすればバンッ!と
大きく机を叩いた夜久がいて先程まで
賑わっていた教室が一瞬で静まり返る
ガタリと椅子から立ち上がった夜久は
無言で朝倉さんの手首を掴むと
立ち上がらせて教室を去ってしまった
ざわざわとする教室で一人の男子が呟く
「もしかして…アイツ等も出来ちゃってた系?」
「夜久くんって前々から男らしいとは思ってたけど、まさか四葉を連れ去るなんて…」
「てか、そろそろ授業始まるけど…大丈夫かな」
所々から聞こえる声を聞き
静かにチャイムが鳴る
『真面目ちゃん』と定位置に着いていた
朝倉さんが初めて授業をサボったのを
初めて見たと少しばかり寂しく思い
隣で空いた席へ顔を伏せながら眺めていた