『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第20章 さようなら、全てが甘く切なかった日々
「ユカから聞いたんだけど…バレンタインデーの日の事」
「それ聞いたのか。悪い…全部知ってた。形が崩れていても美味かった」
「えっ…あれ、食べたの?」
「全部は聞かされてないのね…どれから話せばいいのか。簡単に言えば夜久に教室で待ってろと言われて、待てど暮らせど朝倉さんは来ないし、代わりに成雲が現れてよりを戻したいと持ち掛けられてさ。その時朝倉さんの姿見えちゃってねー…嬉しかったんだ。来てくれたって思ってたから…でも教室から逃げちゃうし、形の崩れた箱だけが床に落ちてて…これは悪い事したなって?後は俺が全て美味しく頂きました、それで朝倉さんから手渡しで欲しかったから…軽い冗談で言ったつもりが、まさかまた作ってくれるとは思わなくさ…律儀でいい子だなって可愛く見えた」
「黒尾くん…」
「最初はさ。どうしてそこまで黒猫にこだわるのか分からなかった…でも話しをする内に自惚れてなければ俺の事を指しているんじゃねぇのかって思えて。辛い時話とか聞いてくれたり、特に面白くもないくだらない話しも楽しそうに笑って聞いてくれた時…あぁ俺、この子の事もっと知りたいなって思えた」
「っっ…!」
「いっぱい傷付けてごめん…鈍感でごめん。でも言わせて欲しい、後悔したくないから…俺は四葉が好きだ」
夢なんじゃないだろうか
貴方の口からそんな言葉を
聞ける日が来るなんて
いっぱい遠回りして何度も
諦めようと思っていた
好きだって伝えたいけど
関係が崩れるのが怖かった
あぁ…本当にいいんですか?
私はなにも持たない平凡人であり
ヒロインを立てる脇役だというのに
幸せになってもいいんでしょうか
「答え、聞いてもいいか?」
「っ…分かってる癖に」
好きな人の前で初めて泣いた
そんな私を苦しいくらい強く強く
抱き締めてくれて、それがとても
幸せ過ぎて涙が止まらない。
貴方が好きです
昔も今も…大好きなんです
「すき、黒尾くんが…すきですっ…」
やっと伝えられた、想いが通じ合えた。
絶対にそんな日はこないと思っていたのに
私は黒尾くんの胸の中で泣いた
そんな私の頭を撫でてくれる
その暖かく優しい手付きが夢じゃないと
教えてくれる、また涙が溢れた
「泣き止まないので…キスして下さい」
「くくっ…お易い御用です、お姫様」
『さようなら、全てが甘く切なかった日々』