『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第2章 ふれた手の温もりがいつまでも離れない
ユカは私を心配する
ヒロインのような彼女
私は大丈夫だと笑って言う。
彼女の好きな趣味はお菓子作り
彼女の好きなモノは甘い物
彼女の好きな音楽はー…
彼女の好きな小説はー…
今熱中しているのは…バレーボール
ーーー…
「馬鹿見たい…」
私は脇役。ヒロインにはなれない。
自覚しているのに
気持ちが重い。心が沈む…
手帳にはユカのプロフィール…
ユカの好きな事が書いてある。
これを見せれば黒尾くんも
きっとユカに染まるだろう
紙をくしゃくしゃにして
ゴミ箱へ捨ててしまいたい
この汚らしい私の感情も
貴方を好きだという想いも全て…
私はひっそりと手帳を握り締め
誰もいない教室で泣いた。
ーーー…
笑え、笑えよ、笑ってよ…お願いだから。
「朝倉さん、どうしたんだ」
「なんでもないよ、あぁ…これユカの好きなモノ。聞いて書いておいたから」
「えっ、あぁ…うん。悪いな」
「なに?私の顔になにかついてる?」
「いや、なんかいつもより暗くね?」
!…なんて目聡い(めざと)人なのだろうか
嘘…誰に対しても優しい人
だからこそ、私は困る。
好きだとまた思い知らせるから。
私が暗い理由…
それは貴方が好きだから辛いんです
そう気持ちを伝えられたら…
私の心は軽くなりますか?
「気にし過ぎじゃない?黒尾くん優しいねー…」
「俺は女の子には優しいんだぜ?」
「うわぁ…チャラ男っぽい」
「そこチャラ男じゃねぇし、紳士と言えよ」
またにっこりと作り笑い。
目の前の貴方を好きになって
笑顔が上手くなって行く自分が辛い。
でも泣かない、貴方の前では絶対に…
「朝倉さんって話したら面白い人だったんだな。前からいい人なのは知ってたけど…」
「はいっ?」
「普通さ、やっぱ引かねぇ?真剣に恋愛相談を聞いて貰って、ましてや協力してくれとか…」
「えっと…黒尾くんは私に引いて欲しかったの?」
「いや、引かれたら僕羞恥で立ち直れませんから」
そう彼は言う
だったら私はどうなるの
手伝う理由は下心…
貴方と話しがしたいから
本当は好きな人の応援とかしたくはない
だけど、それでも貴方が好きなんだ
「はい、一応渡しておくね」
手帳を手渡しほんの少し触れた指先が熱を出す
あぁ、やっぱり貴方が好きです。
不純な理由でごめんなさい
『ふれた手の温もりがいつまでも離れない』