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君と私と(非)日常

第21章 こんにちは、フィクション。②


17人の高校生と5体のクマ型ロボットが集まる体育館。
またか、と先程と似たような状況を再び見せられながらそう思った。
それでも会話の節々などに変化が見られ、やはりみんなある程度は人格を変えられてしまったんだなと嘆息する。
なるべく目立たないように眺めていると、モノクマーズが各々「踏み潰すぞコラァ」と言って喧嘩をし始めた。何しろ殺人兵器エグイサルに搭乗して争っているものだからみんなは巻き添えを恐れて狼狽える。
そんな修羅場の仲裁に入ったのは、どこかで聞いたことのある誰かの声だった。
その声に嬉しそうに沸くモノクマーズ。
「お父ちゃん」としきりに矯声を上げる。
そして照明が落ちたかと思うと一瞬のうちに点き、体育館のステージの上に何者かが現れた。
半分は白くて可愛くて……半分は黒くて邪悪で……まるで別々のクマのヌイグルミを繋げ合わせたようなデザインをしている。

「ボクこそは、この新世界の神であり……そして、才囚学園の学園長! そう、モノクマだよ! オマエラ、どうもはじめまして!」

うわ、あれが本物のモノクマか。
動き方が意外と生々しくて少し気持ち悪いなぁ。
ゲームばかりで慣れ親しんでいた為ぬるぬると動くモノクマに違和感を覚えた。
仕方がない。配信作品はお金が掛かるから無料動画サイトで無断転載の粗悪なカット映像を観るしかないのだ。

「なんか……また新しいヌイグルミが出て来たけど……」
「いや、ただのヌイグルミじゃなさそうだヨ。見える……僕には見えるヨ……あれは絶望と狂気が渦巻く不吉のヌイグルミ………」

突然モノクマーズよりもちょっと大きなサイズのクマ型ロボットが現れたのを見て、みんながどよめいた。

「ねぇ……そもそもヌイグルミじゃなくて、ボクはモノクマなんだけど。そしてこの才囚学園の学園長なんだよ! もっと敬ってほしいもんだね!」

モノクマがそう言いながらステージから下りた。
私たちの方に向かって歩いてくる。

「色々出て来てワチャワチャやってるっすけど……結局のところ、俺らに何をさせるつもりなんすか?」

戸惑うみんなを余所に、1人無防備にモノクマに近付く男子が居た。
緑の頭のミステリアスな人だ。

「何をさせるかって? なかなか良い質問やないか」
「じゃあ、ミーが言っちまうぜ! いいか! キサマラにやってもらいたいのは…………」
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