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君と私と(非)日常

第20章 こんにちは、フィクション。


せっかくライトに当たらずに済んだんだ。
チャンスだと思って、出来るだけ勘づかれないようにしよう。

「君の名前と才能は?」

赤い目でこちらを見つめて、ゴン太と名乗った人物が目線を合わせるようにしゃがんだ。

『私は…………ごめん、まだ教えてあげない。』

ゴン太くんのように、当然私の名前も変えられているはず。どんな設定が付けられているのか分からないから、迂闊に喋ることが出来ない。生徒手帳が与えられるまで大人しく待とう。

「そっかぁ……何だかよく分からないけど、よろしくね………?」

小首を傾げながらゴン太くんはマンホールを足元に置いた。

「……それで、このマンホールがどうかしたの?」
『えっと、もしかしたら何処かに繋がってるかもなって思って……ゲームとかでよくある隠し通路ってこともありうるでしょ。』
「なるほどね! さっそく入ってみる?」
『そうだね。入ってみようか……。』

そう言ってマンホールの中にあった梯子に足を掛けた時、突然アナウンスが流れた。
「おはっクマー!」と複数人分の掛け声が聞こえる。

《はーい、自己紹介もそこそこにして、体育館に集まってねー! 待ち疲れたから自己紹介済んでなくてもさっさと来てねー! 絶対だよー!》

アナウンスと同時に、モニターにさっきのクマ型ロボットが5体映った。
体育館に集まって仕切り直しということらしい。

「……今は地下に降りるの止めて、とりあえず体育館に行こうか」
『そうだね、一応マンホールに蓋をしてから出よう。』

私はゴン太くんと一緒に体育館へ向かった。
これから始まるコロシアイ……私はちゃんと食い止められるんだろうか。
この世界には、リスタートも何もない……。
死んだらもうゲームオーバーで、復帰さえ出来ないんだ。
誰も死なせずに現実世界に帰るなんて、おそらく無理だろう。
でも、無理だからって諦めるわけにはいかない。コロシアイなんてさせない。学級裁判なんて起こさせない。
ダンガンもロンパも存在させない……そんなダンガンロンパで終わらせてみせる。
私がやってみせるんだ。







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