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君と私と(非)日常

第29章 ややこしい2人


「なんですか。急に笑い出したりして」
『んは……ふふっ!。何でもない、気にしないでっ。………あぁ、そうだ。君にしばらく会いに行けなかったけどさ、私のいない1週間はどうだった?。』
笑いを誤魔化すように希灯が話題を変える。
「どうって、いつも通りでしたよ」
『へぇ、いつも通り。』
「あなたが来ないこと以外は」
何の変哲もない回答にオウム返しをしたところ、思わせぶりな言葉が付け加えられてきた。希灯は深掘りを試みる。
『私が来なくて寂しかった?。それとも嬉しかった?。』
「今さらおかしなことを訊きますね。寂しくも嬉しくもない……僕がそう答えるのはあなたも分かっているでしょう」
『いつものツマラナイってやつだね?。まぁイズルくん的模範解答だから予測はしてたよ。でもさ、もしかしたら「あなたが居なくて……とても寂しかったです」って答えが返ってくるかもしれなかったじゃん?。可能性があるなら試してみたいからさ。』
希灯が声真似をしてみせると、カムクラは首を横に振った。
「あなたの喜びそうな言葉を選びさえすればいい場合はそのようなことを言ったでしょう。でも、僕の本心じゃない限りあなたは納得しませんよね。だから先ほどの寂しくも嬉しくもない、という返事があなたにとって最適解でしょう?」
『んー……まぁ、確かに!。』
今の絶対本心じゃないじゃん!。とリップサービスをしたカムクラに駄々を捏ねる自身が容易に想像できてしまった希灯は強めに頷く。
『はぁ、実験みたいなことしたわりには何の成果もなかったね。』
「気付いてたんですか。何やら僕と誉稀をなるべく会わせないようにしてたみたいですが、勝手に始めて飽きて止めるなんてツマラナイですね」
『まぁ私は色んな人と遊べて楽しかったけどさ。でも私と遊びたいから誘ってるわけじゃないって分かったときはもう断ろうかなって思ったよ。』
突然次々と複数人から誘われ、さすがにおかしいと希灯が気付いたのは5日目頃だった。
『イズルくんはどのタイミングで仕組まれてるって気付いた?。』
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