• テキストサイズ

君と私と(非)日常

第27章 益体もない裁判


『あの先輩怖いのによくそんなこと言えたね。それに仮死状態に陥る薬を安藤先輩の手に届く所に置いとくなんて、忌村先輩の方も不注意だよなぁ。』
2人のおかげで大変な騒動が起こってしまったのにと希灯が溜め息を吐く。
『……だけど、イズルくんが死ななくて良かった。仮死とは言え、そういう系の薬って本当に死んじゃう場合もあったりするんでしょ?。』
「致死率は量や体質にもよると思いますが、安藤流流歌は一瓶使い切ったような口振りでした。……まぁ今回は運が良かったということにしておきましょう」
『そうだね……ってあれ?。OBの2人が原因で仮死状態になったってことは、葉隠くん完全に濡れ衣着せられたことになるじゃん。どうしよう。』
希灯がモノクマに言わなきゃと慌てる。
そんな希灯をカムクラは抱き寄せ、部屋のドアを開けてベッドに座らせた。
「……誉稀、今日はもう遅いので休みましょう。葉隠泰広のことは気にしなくて大丈夫ですよ」
涙で赤く腫れた目元を親指で撫でると、希灯はくすぐったそうに睫毛を震わせた。
カムクラは子供に読み聞かせでもするかのような口調で希灯に言う。
「どうせあと少しでこの世界は終わります。適当に集められた僕達も、今まで共同生活をしていた体で始まった学級裁判も、次のページを捲った頃には無かったことにされているんですから」
『そっかぁ、それもそうだね。』
希灯が納得した様子で頷いた。
ごく平和に流れる空白を2人は無感動な文字列で擦り潰していく。
最後に向けてオチを用意しなければ……しかしちゃんとしたオチなんて今まで用意出来たことがあっただろうか?
そう思う頃にはこの話の続きのページは消えていた。
終幕の構想を練ることもなく、更新が確定される。
それはリモコンのボタン1つでテレビの電源を消すような、残酷で些細な出来事だった。









/ 203ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp