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君と私と(非)日常

第25章 魔法の子


「シャッキリポンと、舌の上で踊るよ!」
美味しそうに咀嚼する入間さんの横で、白銀さんがどこかで聞いたことのあるような感想を言う。
他の皆も全員満足そうに食べている。
口を開けば美味しいね、美味しいねだ。
「夢野の魔法がかかって、より美味しくなったってのはわりと本当なのかもね」
「ありがとうね、夢野さん」
素直に感謝の言葉を言われ、照れたように夢野さんが頬を掻いた。
「と、当然じゃ……! 何たってウチは超高校級の魔法使いじゃからな!」
照れながらも鼻を鳴らして得意気に胸を張った後、こっそり私に耳打ちした。
「……感謝するぞ、希灯よ」
『へへっ、どういたしまして。』
せっかくの女子会なのだ。全員が楽しくなくては後味が悪いだろう。
夢野さんがその気になって良かったし、皆の心もある程度広くて良かった。
あと数日でお別れなのだ。気持ちよく別れる為に、こういう茶番は少なからず必要なのである。
私は誰にも見られないように、ほんの少し寂しさを含んだ溜め息を吐いた。



その後残りの数日は料理が出る度に、夢野さんがやって来て呪文を唱えるというイベントが発生した。
「んあー、この魔法はここで共に十日間過ごしたおぬしら限定じゃ。ここを出てウチの魔法が見たくなったら、いつでも呼ぶんじゃよ。気が向いたら会ってやるからな」
夢野さんのその言葉で、17人でお互いの連絡先を交換し合う事態に発展することになる。
なんだ。お別れはまだまだ先の話だったみたい。
夢野さんの魔法のおかげだね、と私は心のなかで夢野さんにそっと呟いた。




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