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君と私と(非)日常

第22章 旅へ行こうよ


『あ、天海くんだ!。』
「希灯さん、久し振りっす」

お昼御飯のお弁当を友達と食べた後、私はお気に入りの場所で1人くつろいでいる最中だった。
たまたま通りがかった天海くんが私を見つけて寄ってくる。

「相変わらず埃っぽいとこ好きっすねー。まぁある程度掃除されてるから言うほど汚くもないっすけど、やっぱり人が普段使わない場所は埃の匂いが目立つっす」
『確かに、この階段は誰も通らないからね。でも今日は晴れてるし日向ぼっこには最適だよ。』

私のお気に入りの場所というのは、屋上へと繋がる階段の踊り場だ。屋上は立ち入り禁止だから誰も来ないし、立ち位置によっては誰からも気付かれない。
おまけに壁はガラス張りだから昼頃は良い日差しが入ってくるのだ。

『今度はどこに行ってきたの?。』
「ヨーロッパに行ってきたっす。前回行った未開拓のジャングルでは色んなゲテモノ食べるはめになったっすから」
『あぁ、途中で遭った民族と打ち解けて村に招待してもらった時の?。』
「そうっす。狩りに連れていってもらった時に木の幹をほじくって出した虫をオヤツ感覚で渡されたり、ヘビやトカゲを捕まえて焼いたり……まぁ毒の有無を見分けられるようになったし、たまに美味しいのもあったからいいっすけどね」

思い出しながら楽しげに笑う天海くん。
私は彼の旅行の土産話を聞くのが大好きだった。
私自身が馴染みのないことを自分からはあまりしないタイプだし、何より天海くんの体験談を通して新しい知識が入ってくるのが楽しかった。
見たことない景色とか聞いたことない文化とかを、天海くんの話を聞いて自分なりに想像する。写真も見せてくれたりして、見て楽しい聞いて楽しいひと時だ。

「今回のヨーロッパは本当に観光気分を満喫するためだけに行ったっす。主にスイスをぶらぶらしたっすよ」
『へぇ、ヨーロッパかぁ。山とか綺麗なんだろうなぁ。』
「山は勿論、ネーデルランドの湖やフィンランドのオーロラも綺麗だったっすよ!」
『何ヵ国ぐらい行ったの?。』
「そうっすねぇ……誰もが知ってる国は全部行ったっすよ。一番記憶に残ってるのは、イタリアのトマティーナっすね。いわゆる完熟トマトを投げ合う収穫祭なんすけど、丁度開催日に行っちゃって服も持ち物も全部赤くなったっすよ」
『楽しかった?。』
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