第4章 甘いキスを教えてあげる ※【大将優】
「…優さんの、キス…、んっ、すごく甘い…」
「俺も、思ってた…。紗菜ちゃんとキスするの、すっげー気持ちいい…」
「嬉しい……もっと…して…?」
「エッチなやつ?」
「そう…エッチなやつ」
紗菜ちゃんの口からそんな言葉が出てくるだけで、とんでもなくイヤラシイことをしている気分だ。
まだ、キスしかしていない。
肌にだって触れていないのに。
これ、またキスだけで終わるわけじゃねぇよな?
ふとそんなことが頭を過る。
いやいや、今日は最後まで、と思う自分と。
一日我慢できたんだから、この際それはそれでいいのか?と受け入れる自分と。
二人の俺がせめぎ合う。
でも前者の俺の背を押してくれたのは他ならぬ紗菜ちゃんで…
激しいキスの傍ら、俺の手をそっと自分の胸へと触れさせた。
驚いて、思わず唇を浮かせる。
「 "あげる" って言ったのに…」
唇を尖らせた紗菜ちゃんが俺を見上げてる。
「紗菜ちゃんって、結構積極的なんだね」
「違う…。優さんがそうさせるんだよ…」
「俺?」
「フェロモンっていうのかな…?流し目とか、声とか、話し方とか、ストレートな殺し文句とか。そういうの、いっぱい持ってるの。もう、メロメロになっちゃう…」
え?俺、そんなん持ってるの?
いや、たぶん紗菜ちゃんの欲目じゃねーのかな…。
「他の女の子だって、きっとそうなっちゃうよ…。だから、焦る…」
「俺にそんな能力ねぇって。もし、仮にあったとしても、俺は紗菜ちゃんしか欲しくないから。正直言うとさ、昼間バスタオル一枚の紗菜ちゃん見て、めちゃくちゃ興奮してた」
「……」
紗菜ちゃんは即効で顔を真っ赤に染める。
「しかも、あれ黒尾ちょびっと見たし。マジ腹立つわ、あいつ」
「でも、肩くらいまでしか見えてないと思う…」
「肩もダメだろ?無闇にあいつの視界に入ったら、妊娠させられちゃうよ?」
「優さん…ヤキモチ…?」
「そ、ヤキモチ。やっぱり…早く俺のものにしたい」