第4章 甘いキスを教えてあげる ※【大将優】
「俺リビングで布団敷いて寝るから、紗菜ちゃん寝室使っていいよ」
「え?私がリビングで寝ますよ!」
「でもリビングだと着替えとか困るじゃん?俺もうっかり入っちゃうかもしんないし。寝室使ってくれた方が気楽だから、そうして?」
「はい…ありがとうこざいます」
スーツケースに詰めてきた荷物を開きながら、そんなやり取りをする。
紗菜ちゃんが持ってきた衣類を整えてる間、俺は夕食を作るためキッチンに立った。
時間も遅いし、親子丼とスープでいいか。
冷蔵庫から卵と鶏肉、玉ねぎ、スープに使う野菜を取り出していると、後ろから声を掛けられる。
「私も手伝います」
「ああ、ありがと。じゃあ…」
振り返った所に立っていた紗菜ちゃんは、Tシャツに短パンとラフな格好に着替えていて…
思わず胸が跳ねた。
体にぴったりフィットしているTシャツは、胸の形を強調している。
そう…紗菜ちゃんの魅力のひとつが、痩せすぎていないこと。
二の腕や脚は、程よい肉感で…。
改めて見てみると、胸も大きい。
…………。
違う違う!!
そんなエロい目で見るためにうちに誘ったわけじゃねーから!!
紗菜ちゃんから無理矢理視線をひっぺがし、気を取り直して料理を進める。
ていうかこうして二人キッチンにいると、何だか職場の延長みたいだ。
紗菜ちゃんが野菜を切る隣で俺は調味料を合わせて。
スープに味付けして卵を落とす頃には、紗菜ちゃんは調理道具を洗い終わり、お椀と箸を準備してくれてる。
いつもより数段早く、晩飯にありつけることになった。
「美味しい!やっぱり優さんお料理上手ですよね。…あ。プロに向かって上手とか失礼かな…」
「いや、嬉しいよ。まだあるから、食べられるならおかわりしてね」
「はい。……あの、もしよかったらなんですけど…」
親子丼を食べながら何か言おうとする紗菜ちゃん。
「何?」
「……朝、キッチンお借りしてもいいですか?ごはん、作ります」
「……いいの?」
「はい。優さんいつも一番に出勤してるし、朝早いでしょう?私がここにいる間だけでも、ゆっくり寝てて下さい」