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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第4章 甘いキスを教えてあげる ※【大将優】



「うん、やっぱり控え目の方が食べやすくていいかな」

「はい。私も迷ってたんで、優さんの意見聞けてよかった。ありがとうこざいます」

「いや…」

絡んだ視線が照れくさくて、思わず髪を掻き上げた。
紗菜ちゃんは皿を下げつつ、片付けを始める。
俺も自分の仕事に戻るため、また鍋と向き合った。



何でだ…?
モンブランに入ってるラム酒の量なんて、たかが知れてる。
それなのに、アルコールを飲んだ時みたいに心臓がうるさい。


まずいな…。
俺、最近紗菜ちゃんのこと、すげー意識してる…。










自分の心境の変化に戸惑いつつ訪れた、次の定休日。
今日は夕方の上映を見て、そのまま晩飯を食うことになっている。
待ち合わせ場所は先週と同じ。
駅の構内を抜けた先、日陰になっている場所を探して紗菜ちゃんを待つことにした。

ところが、足を止めてスマホを取り出してすぐ、隣から聞き慣れた声が届く。


「優さん」


「…え?」


振り返ると、そこには既に紗菜ちゃんが待っていた。

「ごめん…!気づかなかった」

「いえ」

「待たせちゃった?」

「大丈夫。私も今来たとこです」

一瞬誰かと思った。
仕事中は、いつも髪を纏めている彼女。
先週会った時も編み込みの纏め髪だったけど、今日はセミロングの髪の毛を下ろしている。
でも、印象が違うのはそれだけが理由じゃない。


「髪、色変えたの?」


「…はい。わかります?」


「うん、似合ってる。紗菜ちゃん、すげー髪綺麗だね」


今日カラーリングしてきたのかな?
深みのあるブラウンが、秋を予感させる。
風になびく、さらさら艶々の髪の毛を眺めた後、再び紗菜ちゃんの顔に視線を戻した。

そこにいる紗菜ちゃんは、はにかんだ笑みを浮かべながら髪を撫でる。


「ありがとうこざいます…」


ああ…また心で思ってしまう。
可愛い…って。


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