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知らぬが花か 恋心

第2章 2.




目が覚めると、見覚えのない天井が視界に入った。



起き上がろうとすると、体中が痛み動けない。



それに全身も顔もゴワゴワした何かで包まれているらしく、動きづらいことこの上ない。



かろうじて動かせる腕を上げて見てみると、所々血が滲んだ包帯が隙間なく巻かれていた。



首を横に向ければ、石造りの建物であることがわかる。



ただ、使われていないのかかなりボロボロだ。



「……ここ、どこ」



反対側に首を倒せば、そこには没収されたはずの服や荷物が置かれていた。



「……空」



穏やかな空を見る。


清々しいほどに青く、雲はゆっくりと空を流れる。


明るい空を見上げるのはいつぶりだろう。



そう思った時だった。



人の話し声が近づいて来た。



咄嗟に目を閉じてやり過ごす。



話し声は彼女のいる部屋まで入って来た。



「まだ怒っとるのか」



「いい加減機嫌直して。



いい大人なんだから。



元右大臣でしょ」




若い男の声が二つ。



そのうちの一人は、部屋の扉を蹴破ったあの赤い男の声だ。




もう一人は知らない。



だが、かなり若いのはわかる。


まだ少年ではないだろうか。


「そもそも、何(なん)がそげん怒っちょる」


「あったりまえだ‼︎」


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