第5章 5.
次の日、豊久たちは集まってきたエルフの男たちと共に豊久と与一は森の中へ、信長は城の前で別れた。
沙夜は動けるようになったのでエルフの女たちと共に食事の用意や洗濯などを作業する。
「信長さん、は、あんなものを集めてどうするのかしら…」
女の1人が洗濯物を干しながら呟いた。
あんなもの、とは信長がエルフたちに集めさせた便所周りや家畜小屋の土だ。
「さぁ…ドリフの考えることはわからないわ」
別のエルフの女が肩をすくめる。
「……火薬」
沙夜は誰にも聞こえない声で呟いた。
「彼は火薬を作るつもりなんだわ…
確か、糞尿の混ざった土には硝石が出来ると聞いたことがある…
でも、硫黄はどうするのかしら…」
それに、と沙夜は考える。
(この世界のエルフが私の知るエルフなら…
日本の戦い方…特に刀法は向かないと思う…
片手剣とか双剣なら、あるいは…)
しかし、考えても無駄なことだと、沙夜はため息をついた。
(こんなことでしか役に立たないような人間の言うことなんて、聞き入れられないわよね…)
その夜、彼らは人の形をした人ならざるものと邂逅を果たす。