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知らぬが花か 恋心

第1章 ⒈




彼女は、暗闇の中で目が覚めた。


「……騒がしい、な」


言葉の通じない異世界へ飛んで、この城の人間に捕らえられて、どのくらいの時が過ぎたのだろう。


出入り口以外何もないこの部屋では、それを知るすべはない。


囚われる前まで持っていた荷物は全て、没収された。


絶えず聞こえるのは、自分以外の女性の悲鳴と耳障りな水音。


たまに開かれる扉から覗き見れば、耳の長い美しい女性たちがこの城の兵士たちに無体を強いられていた。


自分は彼女たちの様に犯されず、代わりというように拷問を受けていた。


ある時は背中を熱した鉄棒で焼かれ、またある時は足の骨を折られた。


ついこの間は、刃物で顔を切られた。


ノコギリのように何度も往復するように切られたから、多分手入れのされていない錆びた刃物だったのだろう。


覗き見ていたのは彼女たちも同じのようで、拷問が終われば、周りにバレないように話しかけてくれた者もいた。


しかし、言葉がわからないから何を言っているのか分からない。


それでも、彼女たちは諦めずに話しかけてくれた。


彼女たちの悲鳴に混じって、足音が聞こえてくる。


かなりの人数で、しかも近づいている。


行為に夢中になっている兵士たちは気づいていない。


扉が乱暴に開いた音がした。


続く兵士の驚く声。


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