第4章 4.
「ところでお沙夜、
お前は"いつ"この世界に飛ばされた?」
ある日の夜、串に刺した焼き魚を齧りながら信長は沙夜に問うた。
沙夜はエルフに作ってもらった麦粥を食べる手を止め、答えた。
「2016年の、年末だったと思います。
こちらに来てすぐに、あの城の兵たちに捕らわれたので詳しい日付は確認しないとわかりませんが」
確認してみますか?と聞く沙夜に信長は必要ないと笑った。
「やはり、俺が予想した通りだったな。
どのくらい先の未来になる?」
沙夜はそうですね…。と目を閉じて思案する。
「信長公が本能寺で討たれたとされる年、1582年から考えると500年ほど未来になります。
関ヶ原の戦いがあった1600年からなら、400年ほど。
そして、那須様がお亡くなりになったとされる1189年からなら、800…いや、830年ほどでしょうか」
すると、信長は爆笑、豊久は目をこれでもかと大きく見開き、与一は食べていた鳥肉を喉に詰まらせた。
「そ、そんなにも遠い未来から来たのですか…」
どうにかやり過ごした与一は呆然と呟いた。