• テキストサイズ

知らぬが花か 恋心

第3章 3.






時は少し遡り、代官城から女たちを連れて廃城へ戻った時。




信長は豊久と与一、そして廃城に残ったエルフを集めた。




「昼間、エルフの女どもと一緒に囚われていたあの女だが、漂流者の可能性が高い」



それも、俺たちと同じ国のな。



信長が告げると、エルフたちー特に女たちーがどよめく。



「女どもに聞きたい。



あやつはいつから囚われていた?」




女たちは顔を見合わせると、一人が代表して言った。



「少なくとも、一年前からいたと思います。



それより前には、あの部屋は使われていなかったから…」




「であるか」




信長は顎を撫でた。



「それと、あやつの顔の傷。



ありゃ恐らく消えんだろうな」




すると今度は豊久と与一が反応した。




といっても、二人とも眉を寄せただけで、何も言わなかったが。




「お前ら、あの女に鏡なんかの顔が映るようなものは絶対に与えるな。



俺たちの国、日ノ本の女にとって髪と顔は命と同然なのだ。




もし顔に傷が残っとると知ったら、何をするかわからんぞ」



エルフたちと豊久、与一は静かに頷いた。



そして夜は更けていく…。


/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp