第13章 壊れた歯車
『…アパートの前にお父さん方の祖父がいた…』
「お父さん!?」
『ん。お父さん…もう、亡くなってるのは何となく分かってた…』
悲しそうに話す彼女…
『まだ繋がりのある人がいて嬉しかった…』
「そっか…」
私には分からない気持ち…両親がいて兄貴もいる
彼女を肯定することはできても同意することはできない
『話をしたの。父のことや母のことを色々聞いた…』
「うん…」
『会社を経営している人でね…ある人と18歳になったら婚約してほしいって言われて…それで父の分も親孝行出来るのならしたいって思ったの…』
「そんなの間違ってるわっ!間違ってる!あいりが一番好きな人と結婚するのが一番のあいりの両親に対しての親孝行よ!?」
『それも考えた…』
「ッ…なら!」
『でもね…気になってる彼の気持ちが全く分からなくて…怖い。たまに話してくれるだけで十分。彼も好きな人いるだろしそろそろ潮時かなって思ってた。』
「…それでいいの?」
『…。』
「迷ってるならまだ決めない方がいいわ」
『……そうだね…。』